変動的な現代社会において高度な専門職としての教師教育を実現することが世界的に喫緊の課題となっている。本研究の目的はフィンランドと日本の教師教育を実践研究者という視点から比較考察することである。「実践研究者としての教師」論とは1960年代から70年代にかけてのイギリスにおける教師主体の実践過程を重視したカリキュラム開発運動をステンハウスが理論付けて提唱したものである。比較に際して、ショーンによって提唱された「技術的熟達者」と「省察的実践家」という2つの専門家像をカリキュラム分析の指標として考察を行った。生涯にわたって探究的な姿勢で専門性の向上に努める実践研究者としての教師の礎を築く教育のためには、実践認識そのものの再構成を主体的におこなう経験を保証することが必要不可欠であり、そのための教師教育に携わる教員の職能開発が今後の課題として示された。
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