具体的内容: 平成24年度は23年度に引き続き隣接領域の研究枠組の援用を行いながら分析枠組の構築を行った。同様に、継続的に予算データの収集と県の私学関係の資料収集を実施し、2年間で集めた予算データを入力してデータセットを作成した。 本年度の研究成果は次の4点である。第1に私立学校振興助成法成立後の私学助成について集めたデータをもとに分析を行い、その成果を日本教育行政学会大会にて発表した。第2に、1970年の地方交付税法改正によって増額された補助金を県がどのように私学助成に反映させたのかについて分析を行い、論文として『教育行政学論叢』第32号にて発表した。第3に、私学助成における国からの補助金について時系列分析を行い、『大学論集』第44集にて発表した。第4に、平成23年度に日本教育行政学会大会にて発表した国庫補助金制度の導入前後の私学助成の成果を論文としてまとめ、日本教育政策学会年報第20号に掲載予定となっている。 意義と重要性: 大半の私学助成データが私立学校振興助成法成立以降を扱っているが、本研究によって同法成立以前のデータセットを作成することができた。これはデータとしての価値がある。また、先行研究の多くが私立学校振興助成法成立以降を分析対象としてきた高校以下私学助成研究において、同法成立以前の地方交付税交付金のみによって措置されている県私学助成の実態について、中央地方関係の観点から明らかにできた。
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