本研究は、高校以下の私学助成について、特に国庫補助金制度が導入される1975年以前に着目して、県による私学助成制度の策定に対して国がどのような影響を与えているのかについて分析した。分析の結果、政策誘導としての機能を持たない地方交付税制度の変化であっても、県は国の政策決定とほぼ同様の政策を実施していたことが示された。また、国庫補助金制度の導入によって私学助成の「標準額」が提示されたことで、少ない額を補助していた県の底上げが図られた一方で、従来多くの額を補助していた県が標準額に近い額に助成額を設定する傾向になったことが確認された。
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