研究概要 |
本研究では,国際家族法における個人の文化的アイデンティティについて考察した。その結果,個人の文化的アイデンティティを実現するには,わが国における準拠法決定にあたって,本国法主義を原則として維持したうえで,常居所地法との選択を認めるのが相当であることが示された。他方,公序及び人権規範については,欧州各国は多文化主義に立脚してその発動を控える傾向があるが,現実にはかえって女性や子どもの権利を侵害することもあり,国際私法において人権規範を実現するための理論的体系を構築すべきことが明らかになった。
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