本研究においては、企業の顧客戦略に貢献する以下の2種類の研究を遂行した。第1は、企業の顧客関係管理に活用できる分析モデルの開発である。本研究では、消費者の行動プロセスを組み込んだブランド選択行動の分析モデルを構築した。消費者の知識の限界をモデルに組み込み、より実在の人間の状態を妥当に反映したモデルを構築し、実証を行った。得られた結果として、提案したモデルは理論的に妥当であるだけでなく、予測精度などから、実用上有用なモデルであることが示された。第2は、顧客戦略の新たな事例である、企業ポイント交換の有効性の検討である。この研究では、ポイント交換関係が形成される要因を、交換関係のネットワークから検討した。得られた結果として、企業のポイント交換関係の締結においては、企業・業界特殊の要因の他に、ネットワーク上の位置も影響を与えていることが確認された。
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