研究課題/領域番号 |
23830060
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
佐藤 滋 東北学院大学, 経済学部, 講師 (90616492)
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キーワード | イギリス帝国 / 財政権限委譲 / 植民地 / ナショナリズム |
研究概要 |
平成23年度は研究計画書通り、論文執筆のための資料収集期間にあてた。主としてその期間は、(1)研究準備のための書籍資料の収集と、(2)イギリス現地での資料収集を行うための期間に分けられる。研究課題名は「植民地への財政権限委譲論議」であり、これは大きくは「帝国財政史研究」と位置づけられるため、財政関係図書と帝国史関係図書に大きくは二分し、収集を行った。より具体的には、イギリス財政に関するものから、経済統計資料、地図資料、イギリス帝国の通史などを購入した。また、必要に応じて、ナショナリズム研究に関するものや、それに関連した思想書も収集している。(2)はイギリスでの在外研究であるが、予定通り2月から3月にかけて、具体的には、2月23日から3月10日(11日に帰国)までの期間を資料収集にあてた。2月23日から3月1日まで、北アイルランドの公文書館(Public Record Office of Northern Ireland)において、主として、北アイルランドへの財政権限委譲論議に関する未公刊資料の収集を行った。必要に応じて、現地図書館でも資料収集を行った。また、3月1日から3月10日までは、ロンドンの公文書館(National Archives)において、北アイルランドへの財政権限委譲論議に関する資料、インドを含む植民地への財政権限委譲論議の資料収集を行った。北アイルランドへの財政権限委譲論議の資料を最初にもってきた理由は、非アングロ・サクソンに対するものとしては歴史上初めての権限委譲となり、その後の展開に大きく影響を与えたと考えられたからである。全体としては、第一次大戦から戦後直後までの未公刊資料の収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書では、平成23年度は主として資料収集のための期間と位置づけられていた。計画通り、この期間は現地での資料収集、日本における図書資料の収集と、概ね満足行く結果を得た。そのため、(2)の自己評価をつけた。
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今後の研究の推進方策 |
日本での図書資料の収集とその分析の過程で、北アイルランドへの財政権限委譲が、非アングロ・サクソンに対するものとしては歴史上初めて行われ、その後の展開に大きな影響を与えたことが予想できた。そのため、北アイルランドに関する資料収集は後の段階にまわすものと計画していたものが、結果として初期の段階で行うことが効率的と判断した。平成24年度は、その他の植民地への財政権限委譲論議を研究し、これまで収集したものと突合せを行い、論文執筆を行うものとする。
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