研究課題/領域番号 |
23830064
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研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
石田 喜美 常磐大学, 人間科学部, 講師 (00612996)
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キーワード | メディア・リテラシー / 参加型文化 / メディア・ファン / コミュニティ / 情報社会論 |
研究概要 |
本研究では、「参加型文化」という視点から、現代社会にふさわしいメディア・リテラシー教育のための学習環境モデルを構築することを目的とする。本年度の課題は、(1)国内外で行われた参加型文化の視点を踏まえた教育実践の事例を集め、これらを分析することによって、参加型文化の視点に基づくメディア・リテラシー教育論の意義を明らかにすることおよび、(2)日本におけるメディア・ファンにおけるメディア・リテラシー学習の実態について明らかにするため、メディア・ファンやインターネット・ユーザーなど、「参加型文化」を有するコミュニティについて行われた調査研究等を、メディア・リテラシー教育研究の視点から理論的に位置づけなおすことであった。これらの課題に基づき、本年度は(1)まず、Jenkins(2009)^1を中心に、主に米国で展開してきた「参加型文化」に関するメディア・リテラシー教育理論を検討し、日本的な文脈に位置づけ、その意義を明らかにした。また、この成果を論文にまとめ、発表した。さらに、(2)メディア・ファンにおけるメディア・リテラシー学習の実態についての研究資料を収集した。この研究資料を収集していたところ、近年、情報社会論的立場から、メディア・ファンにおけるメディア・リテラシー学習を教育へと応用するような提言がなされていることがわかり、現在、それら情報社会論的立場からの資料をあわせて収集しているところである。 本年度はこれらに加え、2年目に研究することを予定していた、(1)の研究成果を踏まえたフィールド調査および実践研究を行っており、現在その調査を継続しているところである。 1)Henry Jenkins(2009)Confronting Challenges of Participatory Culture : Media Education for the 21st Century. Cambridge, Mass.: MIT Press.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献研究を進めていく中で、近年、情報社会論的立場から、メディア・ファンにおけるメディア・リテラシー学習を教育へと応用するような提言がなされていることがわかった。また、本年度中にそのような視点から出版された文献も複数あり、当初調査研究によって明らかにすることを予定していた研究内容の一部を文献研究によって導き出すことができた。これによって2年目に予定していた、現代美術館での調査研究・実践研究を本年度より実施することができるとともに、本年度の研究成果の一部を論文として発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
近年特に議論が盛んな情報社会論的アプローチによるメディア研究やメディア・リテラシー研究の成果を検討することによって、調査研究で見出そうとしていた知見を明らかにすることがわかった。そのため、当初の研究計画で予定した「参加型文化におけるメディア・リテラシー学習の実態に関する調査」の一部を、文献研究(情報社会論的アプローチによる研究の理論的検討)による調査へと変更する。
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