研究概要 |
本研究の目的は、(1)基礎研究としてのE.レヴィナスの思想研究、(2)「教育体験」のテクスト化を行う調査研究、そして(3)授業開発研究の三つの段階を設定し、それぞれの研究の性質の相違に注意深く配慮しつつ複合的研究を行うことにより、「学校」と「教師」を支援することに焦点化した教育学研究の枠組みを構築することにある。 平成23年度の本研究の具体的内容は、基礎研究として、レヴィナス思想と教育に関する先行研究のテクストとして"Levinas and Education:At the Intersection of Faith and Reason"(Egea-Kuehne,D.ed.,2008)を読み進める中で、「教え」という言説を手がかりに教育場面における「教師-生徒」関係を考察し、教師の「教育体験」を語り直す視座を検討した。同時に、研究協力校(ECC学園高等学校)でのスクーリング授業に同行し、教員および生徒とともに体験的活動を行う過程で資料収集を行った。具体的には、10/19-20に行われたスクーリング授業において参与観察、アンケート調査などを行った。さらに1/20と3/23に教員を対象とした勉強会を開催し、「教育体験」の記述式アンケートの実施および調査報告を行った。 今年度の調査研究が本研究課題にもたらした意義は、第一に、研究協力校の教員(20人)および生徒(約70人)を対象に行った記述式アンケート結果をもとに、それぞれの「学校」や「教師」に向けられた言葉、イメージを収集することができた点である。この調査結果をもとに、次年度では「学校」および「教師」をテーマにした授業開発を行う予定である。 加えて、教員を対象にした記述式アンケートにおいて「教育体験」の記述を収集しており、この資料をもとに、次年度では教員と共同で研究会を開き、教師の「教育体験」が実際の教育実践にどのような影響を及ぼしているのか、教師の「体験としての自己変容」について考察する予定である。
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