研究課題/領域番号 |
23830074
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
實吉 綾子 帝京大学, 文学部, 助教 (90459389)
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キーワード | 物体認識 / 左右大脳半球機能差 / 実験心理学 / 認知神経科学 / 空間周波数 |
研究概要 |
本研究では、定性的情報と定量的情報処理における左右大脳半球機能差が、認識に必要な空間周波数帯域を選択的注意が抽出する段階で生じるという仮説を検証することを目的としている。平成23年度は、物体の定性的・定量的情報に対する左右大脳半球機能差について空間周波数分析の観点から、特に行動実験を主に実施した。実験1では、行動実験によって物体認識においても定性的情報処理には高空間周波数情報、定量的情報処理には低空間周波数情報が用いられるかどうかを検証した。実験の結果は予測に合致するものであり、それぞれの情報処理に対応すると考えられる周波数帯域の除去によって認識成績が低下した。また、実験2では、左右大脳半球機能差が空間周波数情報処理と関わるのかどうかを検証した。実験1と同様にSaneyoshi and Michimata(2009)において左右大脳半球機能差が認められている刺激と課題を用いて、実験参加者に物体認識課題を行わせた。このとき低い周波数成分を除去するとSaneyoshi and Michimata(2009)で認められた右半球優位性が消失する傾向が認められた。これらの結果から、物体の定性的情報と定量的情報処理における左右大脳半球機能差が、特定の空間周波数帯域の処理優位性によって生じている可能性が示された。本研究の知見は、左右大脳半球機能差を軸として、低次の初期視覚特徴である空間周波数情報処理からはじまる包括的な物体認識モデルを構築する手がかりとなると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた実験を実施しまとめることができた。実験1の研究結果は、平成24年度に国際誌に投稿する準備が進んでいる。また実験2については平成24年度に国際学会にて発表予定である。fMRIを用いた実験3と4についても平成24年の夏には開始できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
行動実験における結果が予測通りであったため、予定通りfMRIの実験を遂行する。
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