【目的】本研究は、環境変化によるリロケーションダメージを起こしやすい認知症高齢者が、入居後もその人らしい生活を送るためには、グループホーム(以下GH)入居前にどの様な情報をアセスメントし、どの様に入居時ケアに繋げるとよいのか、その方向性を探る研究である。今年度は、GH入居を経験した入居者本人とその家族からみて必要な入居支援を明らかにすることを目的とする。 【方法】2箇所のGHで、半構造化面接法によるヒアリング調査(個室での個別ヒアリング調査)を実施した。対象者は、今年度GHに入居した入居者5名とその家族7名である。(昨年度末に、さらに別のGH1箇所で、入居者1名、家族1名からも調査を行った。)調査は対象者の同意を得て実施した。 調査項目:入居者…入居後の現在の生活や今後の夢、暮らしの中で今後も続けたいことなど。入居者の家族…GH入居までの経緯やGHの選択の決め手になったこと、入居までの心境と入居後の現在の心境、入居前の見学の有無、入居することについての本人への説明方法など。 分析は、ICレコーダーで録音したデータから逐語録を作成し、定性的コーディングを行い、概念的カテゴリーを見出した。その後、認知症ケア専門士2名によるエキスパートレビューを行い、筆者の分析結果が妥当との評価を得た。 【結果】これまでの先行研究でほとんど明らかにされていなかった、GH入居を経験した入居者本人、およびその家族の想いを明らかにすることが出来た。入居を理解した上で入居した方と、入居を知らされずに入居した方がいた。また、入居者の中には、自宅で暮らし続けたい想いがある一方、家族や自分自身の体のことを考え、入居について折り合いをつけている方もいることが明らかになった。家族は、福祉専門職や知人からの紹介によりGHを知り、見学を経て入居を選択していた。家族は、入居後も、入居を選択したことについて揺れる気持ちがあった。
|