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2011 年度 実績報告書

リベラル・デモクラシーの持続可能性の考察――アローの定理の修正をつうじて――

研究課題

研究課題/領域番号 23830085
研究機関早稲田大学

研究代表者

斉藤 尚  早稲田大学, 政治経済学術院, 助手 (20612831)

キーワード政治理論 / 政治思想 / 社会的選択理論
研究概要

本研究は、民主的意思決定の方法が存在しないことを数理的に証明したと解釈される「アローの定理」から、リベラル・デモクラシーの民主的正統性を擁護することを目的とする。
現代においてデモクラシーを論じる上で、「アローの定理」の分析が避けて通れないことは共通認識として示されてきている。特に、多くの仕会科学者がその妥当性を認めるリベラル・デモクラシーをその定理が批判するか否かが、重要な研究対象とみなされてきた。
リベラル・デモクラシーの観点から「アローの定理」を論じる先行研究においては、一方で規範的な分析を中心とする政治思想における研究と、他方で数理的な分析を中心とする社会的選択理論における研究とがなされてきた。しかし、それぞれの学問における研究手法の差異などから、二つの先行研究の流れが別個に扱われ、それ故に「アローの定理」がリベラル・デモクラシーの理念に与える影響力の分析はあいまいなまま課題として残されていた。
本研究は、「アローの定理」によって導出された否定的な結論から擁護可能な民主的社会の正統性のための理論構築が可能であると主張する。その際の分析手法として、規範的な分析と数理的な分析の双方を用いる。
論証手順は次のとおりであう。(1)アローは、リベラル・デモクラシー論において社会の存続基盤であるとみなされる「合意」が成立不可能であると主張し、(2)先行研究はそのようなアローの批判を回避できない。だが、(3)「合意」の主体がアローの手法では取り込めない「時間的に持続する個人」であると論じることで、(4)アローから擁護可能な「合意」のメカニズムを論じることができる。
2011年度は、論証手順のうちの特に(1)と(2)について学会発表・論文投稿を行った。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、報告者の博士論文としてまとめられる予定である。報告者の博士論文は上記の分析手法から、規範的分析を行う部分と数理的分析を行う部分とがある。前者の部分はほぼ完成したが、後者の部分にまだ不足がある。だが、全体的にほぼ完成に近いと指導教授に判断されたため、報告者の属する研究科にて博士論文提出のための手続きの一つである「合同研究指導論文発表会」を、本年度の5月に受ける予定である。

今後の研究の推進方策

本年度は、5月に「合同研究指導論文発表会」で博士論文の草稿を発表し、主査・副査の先生方からコメントを受ける(申請済)。その後、修正を施した最終原稿を申請者の属する大学に提出する。博士論文の提出後は、引き続き論証手順のうちの(1)と(2)について論文投稿をするとともに、(3)と(4)についても学会発表・論文投稿を行う。具体的には、報告者は本年度10月に日本政治学会で、(4)の一部について「『推論的ジレンマ』と司法審査の役割について」という題目で研究発表をする(申請済)。さらに同学会誌『年報政治学』および、Philosophy and Public Affairsなどに博士論文の各部分を投稿する。最終的に、本年度で博士号の取得ならびに博士論文の各部分の論文投稿をすべて終わらせる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Arrow's Social Welfare Function as Moral Rule2012

    • 著者名/発表者名
      Nao Saito
    • 学会等名
      GCOE-GLOPE II International Conference
    • 発表場所
      Waseda University (Tokyo)
    • 年月日
      2012-01-15
  • [学会発表] リベラル・デモクラシーの持続可能性にかんする考察:アローの定理の検討をつうじて2011

    • 著者名/発表者名
      斉藤尚
    • 学会等名
      社会思想史学会
    • 発表場所
      名古屋大学(愛知県)
    • 年月日
      2011-10-30

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公開日: 2013-06-26  

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