本研究では、ペイアウト政策とコーポレート・ガバナンスの関係を実証的に検証することを主目的としている。また、研究実施計画ではH24年度はペイアウト政策とコーポレート・ガバナンスが与える影響について本格的な分析に入ることを予定していた。 H24年度中の成果について述べると、ペイアウト政策とコーポレート・ガバナンス(特に株主構成)の関係に注目した論文を3本執筆し、うち1本は雑誌への投稿が決まり、2本については査読プロセスを受けている途中である。 投稿が決まった論文は、現金保有とペイアウト政策の関係を中心に議論した論文であるが、その中で企業のガバナンス構造の違いが現金とペイアウトに対する投資家の評価や現金とペイアウトの関係に大きく影響することを示している。当該論文が収録された雑誌は6月中に刊行される予定である。 また、ペイアウト政策と企業のライフサイクルに注目した論文では、株主構成の違いがどのように影響してくるのかを検証している。こちらは現在、査読で受けたコメントを修正している段階であり、その修正が済めば投稿が認められる可能性が高く、今年度中の出版が現実味を帯びてきている。 最後に、3本目の論文は配当と賃金・雇用の関係に注目した論文であり、ここでも従業員寄りと株主寄りのガバナンス構造の違いがペイアウト政策にもたらす影響を検証している。H24年10月の学会報告を終え、修正を重ね、大会特集論文候補として雑誌に投稿しているが、こちらは査読結果の返答待ちの状態である。
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