研究概要 |
本研究の目的は、日本とアメリカの地域精神保健福祉のノーシャルワークの実践における理論的な枠組みを構築するために、1,精神保健福祉における両国の地域ケアへの歴史的展開を通じて、現状の精神保健福祉の実態を明確化し、2,日米の社会的・文化的背景と精神保健福祉制度の相違によるソーシャルワークモデルの基盤を創出し、3,日米の地域生活支援の現場におけるソーシャルワーク実践について、当事者・支援者の両面から実証研究をおこない、両国における特質を明らかにすることとしている。平成23年度においては、以上の目的を遂行するために、A)先行研究を含む歴史的背景に関する文献調査、B)地域精神保健福祉の現場での当事者及び支援者へのヒアリング調査をおこなった。文献調査では、日本とアメリカの歴史的展開と現状における到達点を明確化するために、1800年代から現代までの年表を作成し、精神保健福祉の発展の整理をおこなった。この調査の結果、精神保健福祉の地域生活支援に関する日本の到達点は、アメリカより30年程度遅れがあることが明らかにされた。 また、ヒアリング調査では、当初から予定していたクラブハウスモデルにおけるソーシャルワーク実践を指標として用い、日本では5ヶ所、アメリカでは3ヶ所のクラブハウス実践をおこなっている現場を対象として調査を実施した。この調査では、ソーシャルワーカーの視点からみたソーシャルワーク実践に焦点をあて、半構造化インタビューを用いてデータ収集をおこなった。また、当事者からはスタッフとの関係性やクラブハウスにおけるソーシャルワーク実践に焦点をあて、データ収集をおこなった。
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