研究課題/領域番号 |
23830103
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
関 絵里香 立命館大学, 経済学部, 教授 (40611695)
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キーワード | 漁獲物オークション / 魚市場事例研究 / 経済実験 |
研究概要 |
英国では魚市場の電子化が進んでいる。電子化にあたって現行の掛け声によるオークションのフォーマットを理解し買い手と売り手両方が納得するプログラムを開発することが必要になる。研究スタートアップ段階の初年度では、英国の最大漁港ピーターヘッド(Peterhead)のオークションの事例分析を行い、まず伝統的なオークションのフォーマットを調査した。 1.事例分析の概要 オークションを行う販売会社関係者への聞き取り調査から、伝統的なオークションのフォーマットの多くは経験則で引き継がれており記述されていなく第三者にはわかりにくい。一方オークションの電子化プログラムにあたってまず、計量単位(ロット)、品質等級の設定の仕方、ロットを個別に売るやり方と纏めて売るやり方についてあらかじめルールを決める必要になる。ピーターヘッドを始め多くの魚市場で電子オークションの設備が整っていながら実行されないか失敗に終わる例が多いのは現行のオークションの理解が不足していると考えられる。漁獲物オークションの基本的なフォーマットとしては「個別売り」「纏め売り」「選択売り」があることがわかった。(1)個別売り:ロットごとに次々と売る方法。買い手にとってどのロットも同質な場合、最初に売られるロットを買い控える需要削減が起こる。(2)纏め売り;売り手が複数のロットをまとめて売る。需要削減を防ぐ反面、分配が非効率になる可能性がある。(3)選択売り;落札者がロットのなかから好きな箱または購入量を選択できる。最初に売られるロットには次に売られる予定のロットのオプションヴァリューがふくまれるため需要削減効果がありうる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年9月までに、市場取引データの収集について英国スコットランドのピーターヘッド港責任者と取得可能なデータの交渉と確認をし、平成24年3月までに、ピーターヘッド現地での市場取引情報の記録と入力を現地の協力者(研究補助アルバイト)によって完了し、本年度の研究成果をとりまとめる予定であった。研究協力機関の事情により、市場取引情報の入力を急遽、日本国内で行うことになり、研究協力者の確保と情報入力処理に遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
市場取引データの入力を平成24年度に繰り越して行う(申請・承認済み)。平成24年度では前年度の知見をもとに、複数需要財のオークションのフォーマットを検討し経済実験を行う。 1.経済実験では現地調査で得られた現行および代替オークションのフォーマットを、実験可能な形式にコード化した上で経済実験プログラムを執筆・試行・実施する。まずパイロット実験の結果を暫定的に分析し、分析結果に応じてプログラムを改定する。 2.現地補足調査として前年度に引き続きスコットランド・ピーターヘッド漁港の市場取引情報を収集する。
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