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本研究の目的は、規律的統治テクノロジーと新自由主義的合理性との理論的関係性を明らかにする点におかれる。今年度の研究計画は、「交付申請書」に記したとおり、第一に、主として奈良地区を中心として、地域レベルで実践されている薬物使用者に対する規律的処遇のフィールド調査を実施すること、第二に、奈良地区・トロント地区の規律的薬物処遇実践に関する歴史社会学的分析を行うこと、といった二本の柱から構成されている。
第一点目に関しては、主に奈良地域を活動エリアとする民間薬物依存回復施設を対象に、インテンシヴなフィールド調査を実施したほか、関係者に対するインタヴュー調査を実施した。そこでは、奈良地区の薬物回復支援が、従来の伝統的な支援タイプとは異なり、治療共同体的セッティングを志向していることが明らかにされた。また、実務家や薬物使用当事者、研究者などで構成された研究会を組織し、そこでの活発な討議や研究発表を行った。
第二点目に関しては、奈良地区および全国各地の薬物依存処遇に関する歴史資料を収集し、分析した。特に、そこで収集された資料やインタヴューデータなどを活用して、日本における民間の薬物依存回復施設の歴史をたどり、伝統的タイプと奈良地区等で見られる先進的動向との相違点に関する歴史社会学的分析を行った。そのほかに、カナダ・トロントエリアにおける薬物依存回復施設への訪問調査とインタヴュー調査、施設の歴史に関する資料収集調査を実施した。
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