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2011 年度 実績報告書

証券法ゲートキーパー責任制度改正とわが国への摂取

研究課題

研究課題/領域番号 23830111
研究機関大阪経済法科大学

研究代表者

大澤 和人  大阪経済法科大学, 法学部, 准教授 (70613355)

キーワード証券法 / 証券取引所法 / 証券発行の開示(虚偽記載)責任 / ストラクチャード・ファイナンス / デューディリジェンス責任 / 表明担保条項 / ゲートキーパー / 格付け機関
研究概要

2010年7月Dodd-Frank金融制度改革法(以下「DF法」)に従い、証券法の証券の定義にStructured Finance Products(以下「SFP」)が加えられ、適用対象とするため証券法関連ルールが改正された。従来、SFPには証券法のルールがそのまま適用され、特別の監査制度がなかった。SFP発行目論見書に信用格付けが記載される場合、信用格付機関は信用格付けに関する証明を求められ、同法に従う虚偽表示に関する無過失責任を負うことになり、特別免責規定は撤廃され、利用情報のdue diligence注意義務も負担することになった。この制度改革法により、SFP信用格付を付与する機関は、初めて証券発行のgatekeeperに位置づけられた。
改正の背景となった幾多の紛争と開示責任の規制の史的な経緯を考察せんとする研究の目的については、一部を除き、以下の研究実施計画通りに終えた。
(1)格付け機関に対するSFPに係る賠償責任に関する裁判例に関する争点整理、ケース類型の分類、適用理論の概説、(2)SECのCRAに関する法規制やreleasesについての30年間分収集と、DF法にいたるまでの法規制の史的考察、(3)DF法のSFPに関する証券の定義の改正、証券法ルールの改正ポイントの整理、(4)DF法の立法のための議会公聴会での発言ポイントの整理、(5)証券法責任法理に関する証券金融業モデルの学者先行論文の整理、(6)SFPに係るアメリカ証券法11-12条に関する裁判例の研究と評釈の整理、
(7)なお予定した住宅モーゲージ証券を資産とするCDO発行目論見書の分析と証券詐欺の原因となる開示方法について研究は、今後の課題となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アメリカの証券法・証券取引所法に係る証券発行の(虚偽)開示責任の規制に関する法規制の改革及び史的な経緯(裁判例の法適用の事件の概要)などの検討についてはほぼ予定通り終了した。立法と規則制定に関連して2012年1~2月に2回にわけて以下雑誌にて連載し、虚偽記載に関する証券法を拠権規範とする紛争の展開については別の雑誌にて2011年に公表できた。

今後の研究の推進方策

アメリカの法規制の適用に関する解釈法理に関する部分については、一部が未公表である。それに加え、規制改革の理由となったSFPの担保の虚偽表示の訴訟事件のここ数年の判決を整理・分類し、法理適用について検討し、規制改革前の証券法適用法理を考える。その上で、わが国で同様の虚偽記載問題が起こった場合、訴訟解決の手がかりの法理と規制のあり方を検討する。わが国金商法を米国の制度改革にハーモナイズさせる必要があるか。その場合に、どのような改正が必要となるか。また信用格付け機関の信用格付け情報の無過失責任をどう規定し、どのように私訴権を与えるかについて、アメリカ法がどのように手がかりとなるかを考察したい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Dodd-Frank金融改革法と30年目の証券法開示責任制度の改革(上)2012

    • 著者名/発表者名
      大澤和人
    • 雑誌名

      国際商事法務

      巻: 40巻1号 ページ: 22-34

  • [雑誌論文] Dodd-Frank金融改革法と30年目の証券法開示責任制度の改革(中)2012

    • 著者名/発表者名
      大澤和人
    • 雑誌名

      国際商事法務

      巻: 40巻2号 ページ: 239-252

  • [雑誌論文] バンカメ証券法クラスアクションを読み解く2011

    • 著者名/発表者名
      大澤和人
    • 雑誌名

      NBL

      巻: 961 ページ: 27-37

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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