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2012 年度 実績報告書

裁判員制度における評議コミュニケーションの体系的理解に向けた社会心理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23830112
研究機関関西学院大学

研究代表者

村山 綾  関西学院大学, 文学研究科, 博士研究員 (10609936)

研究期間 (年度) 2011-08-24 – 2013-03-31
キーワード社会心理学 / 裁判員制度 / 評議 / 専門家-非専門家
研究概要

今年度は、昨年度に法律の専門家である弁護士および司法修習生の協力を得て実施した、専門家-非専門家で構成された評議体による意思決定実験で得られたデータを詳細に分析した。そして(1)評議を通して専門家と同様の意見に変化する実験参加者が多いこと、(2)専門家と同意見で評議を終えると評議前よりも判断の確信度が高まることを示した。また、評議に対する満足度には、(1)最終判断が専門家と同じであること、(2)専門家への信頼の程度が高いこと、(3)評議での主張が十分にできたという主観的評価が関連しており、評議における専門家の影響が、行動的側面ならびに心理的側面に及ぶ可能性を示した。
評議実験の分析に加えて、裁判員の初期選好(有罪・無罪判断)過程に影響を及ぼす要因として批判的思考態度(証拠の分析、問題解決、意思決定といった、質的に高次な論理的思考であり、また自分の推論過程を意識的に吟味する反省的思考(楠見, 1996))に注目し、無罪判断が妥当な公判シナリオを用いて、批判的思考態度と法的判断との関係について検討した。そして分析の結果、無罪判断で批判的思考態度得点が高い場合は、物的証拠の欠如といったメタな理由づけをしている一方、有罪判断で批判的思考態度得点が低い場合は法廷での証言や発言などについて言及すると同時に、「おかしい」や「不自然」「信用」といった主観的評価が判断理由に含まれることが示された。初期選好を形成する個々人の特徴については明らかになっていない部分が多く、特に日本国内の研究は少ない(伊東, 2007)。本研究から得られた結果は、裁判員として裁判に参加する可能性のある一般市民に求められる法律的知識やリテラシーにも関連する重要な知見である。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

(5件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 評議における法専門家の意見が非専門家の判断に及ぼす影響 -判断の変化および確信度に注目して‐2012

    • 著者名/発表者名
      村山綾
    • 雑誌名

      法と心理

      巻: 12 ページ: 35-44

    • 査読あり
  • [学会発表] 専門家-非専門家による評議コミュニケーションに関する実験的検討-有罪・無罪判断に用いられる材料と参加者の満足度に注目して

    • 著者名/発表者名
      村山綾
    • 学会等名
      日本グループ・ダイナミックス学会
    • 発表場所
      京都大学
  • [学会発表] 覚醒剤密輸事件に関する公判シナリオを用いた有罪・無罪判断のテキストデータ分析 -批判的思考態度との関連-

    • 著者名/発表者名
      村山綾
    • 学会等名
      法と心理学会
    • 発表場所
      武蔵野美術大学
  • [学会発表] The Legal Professional Opinion and Lay Citizens' Judgment During Deliberation

    • 著者名/発表者名
      Aya Murayama
    • 学会等名
      American Psychological Association Annual Convention
    • 発表場所
      Hawaii Convention Center (USA)
  • [備考] 「法と心理」への論文採録決定

    • URL

      http://www.ayamurayama.com/home/update/%E3%80%8Cfatoxinli%E3%80%8Dhenolunwencailujueding

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公開日: 2014-07-24  

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