本研究は、発達障害のある子どもが示す問題行動や行動障害と同じ反応クラスに属すると推測される反応の序列に関するアセスメント方略と、子どもの問題行動の生起を減少させ、適切な行動を増加させる指導の法略について検討することを目的としていた。初めに、問題行動とされる行動とその反応クラスの序列についてアセスメントするために、行動観察・インタビューを行った。アセスメントでは、問題行動が生起する前に一定の行動が出現することが観察された。この行動を強化すると、問題行動は生起しなかった。逆に前兆行動を強化しなかった場合は、問題行動が生起した。指導では、問題行動と比較して、行動の反応型がより本人・周囲への怪我などの影響が少ない前兆行動を強化した。対象児の前兆行動について指導者、保護者が前もって確認し、前兆行動がみられた場合の指導方法について決定した。前兆行動への介入は、保護者でも可能な内容とした。指導では、前兆行動が生起した時に決められた対応を実施し、問題行動の生起を減少させ、代替行動の生起を促進させた。問題行動を示す子どもへのアセスメントとして、当該の問題行動だけでなく、同じ反応クラスの行動の存在やその型、序列を査定することが、問題行動への対応に有効であり、予防的な介入・指導の検討をまとめた。
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