昨年度成果を元に、福島県・関東圏・愛媛県でWEB調査を行った。原発事故に伴う食品購入忌避行動の増加・減衰について、web調査を元にモデルを作成した。また、被災後2年が経過した時点で、「被災地産の食品に対し特に忌避行動を取る必要が無い」という考えを常識的と考える層が7割を超えていても、実際には「売り場でみかけない」「他の産地の商品で魅力的なものがあったから」という理由で福島県産食品を購入していない層が5割を超え、実際に購入行動を取ることとは別であることが判明した。 つまり「常識的な態度」のモデルはテレビでの「汚染食品」「風評被害」アジェンダが縮小するにつれ「忌避行動はとるべきではない」方向にシフトしているのに対し、実際の行動は「特に積極的に変える必要が無い」という事でアンカリングされている。なお、この傾向は、愛媛県で最も強く関東圏>福島県の順であった。被災地の距離により態度と行動に乖離が起きており、逆に福島県内では最初忌避行動をとっていた人も態度変化により積極的購入を行う傾向が見られた。被災地への自我関与の度合いがもたらす差違であると考える。しかしどの地域でも2年ほどで風評被害のもととなる忌避的態度は弱まっており、今後のマーケット流通のあり方により現状を改善する方策がないかを考察した。 また、次に最寄りの原発に事故が発生した際の避難行動について、slovic(1987)のリスク認識公式とallportとpostmanのR(流言の量)=i(重要性)×a(あいまいさ) および、メディア(テレビ)とプライベートな情報源(知人からの電話連絡・原発のある方面から逃げて来た人に聞く口コミ)とで検証したところ、プライベートな情報源だけでは不足で、公式メディアでの承認をほしがる傾向が見られた。これを情報の確証要求と名付け、避難行動を遅らせる一因として定義した。
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