研究概要 |
近年,自閉症児において,十数個の光点運動のみから他者行為を知覚可能な現象であるバイオロジカルモーション(BM)検出の不得手さが数多く報告されており,社会的知覚処理の特性を調べる一つのツールとしての有用性が認識されつつある.一方,遺伝性疾患であり,social phenotype(社会的表現型)に特徴を持つウィリアムズ症候群(WS)患児(者)において,その知覚処理特性は十分に明らかにされていない.本研究では,BM知覚処理に特化したテストバッテリを用い,その様々な知覚処理特性を検討した.具体的には,QUEST法を用いた4つのBMテストバッテリ(1)コピーレンス課題,(2)検出課題,(3)方向弁別課題,(4)性別弁別課題を22名のWS患児(者)ならびに定型発達児ならびに健常成人の協力を得て実施し,閾値の測定をした.結果,WS患児患児(者)において,性別(男性)弁別課題以外の閾値が高いことがわかった.これらの結果はWS患児(者)において,他者知覚処理特性に関してもギャップが存在する可能性が示唆された.
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