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2011 年度 実績報告書

ハイブリッド量子井戸のスピンg因子の特異性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23840004
研究機関東北大学

研究代表者

文 泌景  東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (00610619)

キーワードグラフェン / twisted bilayer graphene / 電子輸送 / 量子ホール効果 / フラクタル / quantum ring
研究概要

III-V族量子井戸構造の電子スピンを量子コンピュータの基本ユニットとして利用する研究の一環として、III-V族ハイブリッド構造(量子輪)の研究を行った。構造の応力で二つのバンドの縮退が解け、外部電場により各バンドを選択できることを示した。さらに、磁場をかける事で各バンドのスピン縮退が解け、外部電場により異なるg因子を持つスピン状態を選択できることを見せた。その結果の一部を、量子輪に関する本のchapterとして書いている。本の仮題は「Physics of Quantum Rings」(Springer)、平成24年12月発刊予定。
ハイブリッド量子井戸構造の研究と平行し、IV族の同じ二次元構造であるグラフェンへの応用研究も行った。単層グラフェンの電子は、まるで質量が無いような振る舞いをするため、既存のシリコンでは不可能だった高性能コンピュータへの応用が期待されている。しかし、二層のグラフェンが重なった構造では電子に質量が現れ、高速な電子輸送が難しいとされていた。最近になって、二つの層の相対角によって二層グラフェンでも電子が質量を持たないような振る舞いをすることが理論と実験両方で報告された。当年度の研究によって、この、twisted bilayer graphene構造が単層グラフェンより遥かに弱い磁場と低い電子密度でもHofstadter's butterfly(フラクタル的バンド構造)を表すことを示した。また、二層間の回転角の様々な値に対して、ランダウ準位構造の磁場依存性と量子ホール伝導度を調べ、磁場が無い場合のバンド構造と比較することによりその起源を解析した。以上の発見をPhys. Rev. Bに投稿し、日本物理学会と国際学会Graphene weekにて発表する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ハイブリッド量子構造に関する研究が順調に進んでおり、その応用として現在、世界中で活発に研究が行われているtwisted bilayer graphene構造で重要な発見をすることができた。まだ申請書に記したハイブリッド量子井戸構造研究のすべての項目を完了してはいないが、twisted biayer grapheneの重要性が強調されつつあるため、この構造の研究を最優先に行っている。結果の質としては当初の計画以上に進展しているが、研究の方向性に申請書と若干異なる部分があるため、(2)と評価した。

今後の研究の推進方策

当初の研究を進めながらその応用を探す途中、twisted bilayer grapheneで大変興味深い性質(フラクタル的バンド構造)を発見することができた。ハイブリッド量子構造に関する当初の研究計画を進めると同時に、このtwisted bilayer grapheneの電子構造及び光学的性質を計算し分析することで、実験分野へ有用な情報を提供する予定。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Twisted bilayer grapheneにおけるランダウ準位構造2012

    • 著者名/発表者名
      文泌景
    • 学会等名
      日本物理学会(第67回年次大会)
    • 発表場所
      関西学院大学西宮上ケ原キャンパス
    • 年月日
      2012-03-25
  • [備考]

    • URL

      http://arxiv.org/abs/1202.4365

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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