研究概要 |
計画では、ニュートリノレス二重ベータ崩壊の始状態と終状態をHartree-Fock-Bogoliubov(HFB)計算で求める、それらを基に乱雑位相近似(QRPA)計算を行う、始状態と終状態から求めた二種類のQRPA状態の重複行列要素を求める、ニュートリノポテンシャルの二体行列要素を計算する、二体移行の遷移行列要素を求める、これらの行列の積のトレースを求めることにより、原子核行列要素を求める。位相空間因子を計算するという段取りであった。計画の実施期間中にはまず 76Ge, 76Se, 130Te, 130Xe, 136Xe, 136Ba, 150Nd, 150Smの基底状態がHFB計算によって求められた。QRPA計算の三割くらいが終了し残りの計算が目下進行中である。ニュートリノポテンシャルの行列要素、二体移行遷移行列要素、位相空間因子を計算するプログラムが完成した。任意のQRPA状態の重複の計算に関しては、最も進んだ計算機を用いれば、今までこの課題の分野で用いられてきた方法よりもずっと厳密に近い方法が計算可能であると判断し、そのような方法を開発して、プログラムを完成させた。計画の実行中この部分に最も時間と労力が充てられた。この方法とテスト計算ならびにQRPA重複行列の数学的性質について三本の論文を出版した。QRPA重複行列要素計算の発展が本計画の研究実績の中で最大の成果である。
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