研究概要 |
絡み目ホモトピーとは絡み目のある同値関係である.絡み目ホモトピー類に対しては簡約結び目カンドルが定まる.しかしカンドルの同型性判定は難しく,簡約結び目カンドル自身を絡み目ホモトビ一類の分類に用いることは得策ではない.絡み目ホモトピー類の分類にカンドル理論を活用するためには,まず簡約結び目カンドルから計算・比較が容易な絡み目ホモトピー不変量を構成する必要がある. 研究代表者はカンドルに準自明性を定義し,これが簡約結び目カンドルからの非自明な準同型を許容するカンドルに求められる条件であることを示した.また準自明カンドルに対して(従来のカンドルホモロジーの商である)準自明カンドルホモロジーを定義し,これを利用して絡み目ホモトピーで不変なカンドルコサイクル不変量を構成した.この不変量は簡約結び目カンドルから準自明カンドルへの準同型が定める(準自明カンドルホモロジーの)基本類をコサイクルで評価して得られるものであり,計算・比較が容易な数値型不変量である. 数値型の絡み目ホモトピー不変量は,これまでMilnor不変量以外に知られていなかった.今回構成したカンドルコサイクル不変量は準自明カンドルとそのコサイクルを指定することに定まるため,我々は大量の数値型不変量を手に入れたことになる.次年度ではこの不変量の分類能力について研究を進める予定である.また準自明カンドルホモロジーの理論は「簡約結び目カンドルが絡み目ホモトピー類を完全に分類する」という予想の解決にも役立つと思われる.次年度ではこの予想の解決にも挑戦したい.
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