重力崩壊型超新星の爆発メカニズムは、宇宙物理学における大きな未解決問題のひとつである。本研究では、この爆発メカニズムを明らかにすることを目標に据えた。特に、標準的なシナリオであるニュートリノ加熱機構によって超新星爆発が可能であるのかどうかを調べるために、多次元流体とニュートリノ輻射輸送を同時に解くニュートリノ輻射流体シミュレーションを行った。さらに、超新星爆発に付随することがあるガンマ線バーストについての理論的研究も進めた。 今年度の具体的な成果は以下の通りである。1) 世界初の空間3次元でかつエネルギー空間も解いたニュートリノ輻射流体計算を行い、空間2次元と3次元の違いを示した; 2) 超新星爆発における核物質状態方程式の影響を調べ、どのような原子核理論パラメータであれば爆発に有利か示した; 3) 中心エンジンへの降着とジェット生成を無矛盾に取り入れた特殊相対論的ジェット伝搬シミュレーションを行い、星を貫くための条件を示した; 4) 宇宙で最初にできた初代星のガンマ線バースト生成可能性を明らかにし、その観測的特徴を予言した; 5) ガンマ線バースト中心エンジンにおけるニュートリノ加速の可能性を示し、ジェット生成の効率が大きく上がり得ることを明らかにした。 これらの成果はそれぞれ論文として公表した。
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