宇宙線の起源として有力な加速機構である、超新星残骸衝撃波での電子加速を明らかにするため、近年の超並列計算機に対応した電磁プラズマ粒子(PIC)コードの開発を行い、2次元衝撃波における加速メカニズムについての研究を行う。 昨年度で進めた、高マッハ数衝撃波の2次元PIC計算で、イオン・電子質量比、マッハ数、上流プラズマβに着目した成果は、Astrophysical Journal誌に掲載された。電子衝撃波波乗り加速が比較的若い超新星残骸衝撃波において効果的に働き、衝撃波統計加速への電子注入が期待できることを示した。 昨年度に続き、コードの並列化・最適化をを京コンピュータで進めた。その結果、約15%の実行効率といった高速なPICコードの開発に成功した。 昨年度の研究を踏まえ、本年度ではイオン・電子質量比=225、アルヴェンマッハ数~45のさらに高マッハ数領域に迫った大規模計算を行った。その結果、これまで得られていた衝撃波前方での電子衝撃波波乗り加速に加え、foot領域でのイオンスケールの電磁モードの励起によるカレントシートの自発的形成、衝撃波面における電子スケールの静電モードの成長など、様々なスケール・モードがそれぞれの領域で卓越することが明らかになった。このような構造が共存することを数値計算によって示すことができたのは初めてであり、電子加速の議論も含め、現在投稿順中である。
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