研究課題
本研究は微小クレータを含めた月面クレータの標準サイズ頻度分布形状の決定を通じて、微小クレータを用いた年代決定手法を確立し、本手法を直径20km以上の月面クレータに対して適応することで、クレータ年代カタログの作成とクレータ形成史の復元を行うものである.昨年度行った作業と成果は以下である.(1)月面標準クレータサイズ頻度分布形状の決定と年代決定手法の確立(1-1)観測された微小クレータのサイズ頻度分布と過去に調べられている標準分布の300m以上の領域を用いて、直径10m~100kmの月面クレータ標準サイズ分布を調査した.その結果、過去に提案されたサイズ分布関数と大きな差異は観測されなかった.(1-2)アポロ試料から放射年代が得られている領域の中でも特に若い地域、Copernicus、Tycho、NorthRayクレータで新たに観測されたサイズ頻度分布に標準サイズ分布をフィッティングし、直径1kmのクレータ数密度を算出した.(1-3)求められたクレータ数密度と放射年代との関係式を再算出した.得られた年代とクレータ数密度の関係から、これまで考えられていた過去30億年間のクレータ生成率一定ではなく、過去から現在にかけてわずかに生成率が減少していることが示唆された.計画からの変更点として、当初予定していた下記の(2-1)の作業は実施せずに、(2-2)作業の中間結果を(1-1)作業にフィードバックすることに変更し1ているが、作業の進展具合としては計画と大きな差はない.(2)年代決定手法を実データに適用した直径20km以上のクレータの年代決定(2-1)過去に層序関係から構築された地質図を用いて35億年よりも若い直径20km以上のクレータを抽出.(2-2)月全球の直径20km以上のクレータの年代決定を実施.
2: おおむね順調に進展している
上述のように、作菜項目の(1)を完了する際に(2-2)の中間結果をフィードバックすることで統計量を増やし、(1)の精度向上をはかるように手順の変更を行った.そのため当初予定していた(2-1)作業を実施せず、(2-2)作業を先行し行っている.進行状況としては当初の予定通りに進んでいる.
本年度において、当初の予定通り以下の作業を実施する.(2)年代決定手法を実データに適用した直径20km以上のクレータの年代決定(2-1)過去に層序関係から構築された地質図を用いて35億年よりも若い直径20km以上のクレータを抽出.(2-2)月全球の直径20km以上のクレータの年代決定を実施.(2-2)関しては昨年度作業と7部重複があるため、現在において約10%程度の解析が終了済みである.
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