研究課題
月面クレータは太陽系内側の長期的な衝突履歴をほぼ完全に保存した数少ない直接的記録である.本研究の目的は近年の国内外の月探査ミッションによって蓄積されてきた高解像度画像データを利用し、月面クレータの形成年代を数億年の精度で決定するための手法の開発・改良を行い、更にはそれを実データへ適用することで、更なる天体衝突史の理解に向けて基礎データを提供することである.本研究では月面の様々な年代の領域においてクレータのサイズ頻度分布計測を遂行し、月における標準クレータサイズ頻度分布関数の導出を行った.その結果、小サイズのクレータ(直径<100m)のサイズ分布形状は過去の見積もりよりも急勾配を持つ事があきらかとなった.この結果を用いてアポロ・ルナ計画で持ち帰られた岩石試料の放射年代とのキャリブレーションから、月面の年代とクレータ数密度の関係関数を得た.これによると過去30億年間の太陽系内側におけるクレータ生成率は時間とともに減少しており、現在の生成率は30億年前の半分程度であることがわかった.この天体衝突頻度の長期変化はメインベルトの総数変化を反映していると考えられ、小惑星の衝突破壊の進化履歴を理解する上で重要である.更に得られた月面の年代とクレータ数密度の関係を用いて直径20km以上の月面クレータの年代決定を行った.その年代分布を見てみると、これまでのスペクトルデータにもとづく相対年代の見積もりよりもコペルニクス期(約10億年前から現在)に形成されたクレータ数は十分に少ないことが明らかとなり、この結果は、アポロ・ルナ試料とのキャリブレーションから示されるクレータ生成率の減少傾向と整合的である.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (7件)
J. Geophys. Res.
巻: 118 ページ: 1-18
DOI:10.1002/jgre.20056
Geophys. Res. Lett
巻: 39 ページ: L11203
DOI:10.1029/2012GL05183
Geophys.Res. Lett.
巻: 39 ページ: L13201
DOI:10.1029/2012GL052098
日本惑星科学会誌・遊星人
巻: 21 ページ: 217-223
巻: 21 ページ: 267-275
Nature Geoscience
巻: 5 ページ: 384-388
doi:10.1038/ngeo1458
Earth and Planetary Science Letters
巻: 337-338 ページ: 10-16
doi:10.1016/j.epsl.2012.05.007
巻: 5 ページ: 775-778
doi:10.1038/ngeo1614