研究課題
原子レベルで精密に制御した無機ナノ結晶は、ナノサイズに起因した異的な発光機能や磁気機能を発現することが知られている。本研究では、先進的な光磁気機能を有する新物質を創発・設計するために、『自由に機能(磁性・発光等)を付活できる酸化物ガラス(母体ガラスと呼称)』と、磁性半導体『EuSナノ構造体』とのガラス・ナノ構造コンポジット物質を作製を試み、その相乗効果による複合的な機能の創発と新規の物質設計を行うことを目的に研究を行った。具体的には以下のような手順で進め、昨年23年度は『ゾル-ゲル法を用いてナノ構造体のガラス封入技術を確立を行い主にナノガラス・コンポジットの合成およびその基礎物性解明を行った。本年24年度には、磁性ガラス構造体複合コンポジットを作製し、無機ガラスという特殊な配位環境のもと新たに生じた相乗的な磁気光学効果(ファラデー効果)について研究を行った。主たる結果として化学的な安定性に優れる酸化物ガラス中に、磁性半導体EuSナノ結晶の均一分散させたコンポジット作製を行うことで、その磁気物性の向上および熱耐久性向上に成功した。この研究ではナノ結晶を覆う配位子を設計することで無機ガラス源となるSiアルコキシドの表面置換をスムーズに行え、酸・アルカリ触媒を用いず良質なバルクガラスを合成できる条件を示すことに成功した。これら成果は論文発表、特許出願および学術発表会で報告している。本研究において、無機ガラスと表面支配的なナノ物性の相乗効果により、ナノ構造体を覆うフレキシブルな酸化物ガラスの特性を生かしつつ、様々な相乗機能の創発を行う本目標は達成さてた考えている。 今後、本研究で得られた知見は、物質化学の学術的な重要性だけでなく産業的にも大きな波及効果・インパクトがあると考え、また本事業に深く感謝の意を述べたい。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Alloys and Compounds
巻: vol.562 ページ: 123-127
doi:10.1016/j.jallcom.2013.02.064
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doi:10.1021/ja3106253