現在、有機薄膜太陽電池に適したアクセプター材料はフラーレン誘導体のみであるが、スケールアップ合成・精製の困難さや高コスト、低溶解性などの欠点から、フラーレン誘導体の欠点を補完したアクセプター材料開発が求められている。本研究では、フラーレン代替材料として、全共役系ブロック共重合体の開発、さらにはそれらを用いた非フラーレン系有機薄膜太陽電池の創製に取り組んだ。 平成23年度にナフタレンビスイミド骨格とドナー・アクセプター構造をコンセプトとした新規全共役系ドナー・アクセプター型ブロック共重合体の合成と特性解析を行った。平成24年度、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、得られたブロック共重合体をそれぞれドナー、アクセプター材料として用いた非フラーレン系有機薄膜太陽電池の作製に取り組んだ。当初得られた変換効率は0.5%程度であったが、デバイス作製条件(キャスト溶媒、熱アニーリング条件等)の最適化を行うことで、変換効率は最大1.6%に達した。非フラーレン系有機薄膜太陽電池の変換効率は1%以下の報告が大半である状況であり、本研究で得られた1.6%の変換効率は比較的優れていると言える。 以上より、本研究でコンセプトとしたナフタレンビスイミド骨格、ドナー・アクセプター構造を基盤とした全共役系ブロック共重合体は、フラーレン代替材料として有機薄膜太陽電池中で機能することを見出し、フラーレン代替材料探索を進める上で重要な知見を得ることができた。
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