平成25年度は主にマイクロチャネル内の相変化伝熱現象の理論解析と数値解析コードの構築を行った。理論解析においては平成24年度に解析した核沸騰における不均質核生成の理論式の解析解を利用し、核沸騰が生じない液膜厚さの無次元解を導出し考察を行った。液膜の蒸発のみが生じる条件を満たすマイクロチャネルの無次元特性直径を考察した。無次元化に関わる特性長さを作動流体の物性にのみ依存する形に導出した。さらに、無次元特性直径は気泡の移動速度と液膜厚さを結びつける関数形に強く依存することがわかった。これまでのマイクロチャネル内の相変化伝熱現象の一般的な研究において気泡の移動速度すなわち膨張速度と液膜厚さの関係式については考察されていないため、この関係式の導出は今後の課題となる。 並行してマイクロチャネル内二相流の数値計算プログラムの構築を行った。VOF法により、気泡の管内移動現象とその伝熱特性について考察を行った。種々の妥当性評価を行い、構築した数値計算プログラムの検証を行った。マイクロチャネル内単一気泡流の解析を行い、その結果、気泡の形状はマイクロスケールにおいても大きく変化しないことが明らかになり、つまり粘性力と表面張力のバランスによって支配されるという従来の解釈が維持されることが明らかになった。さらに気泡の長さと液膜厚さの関係についても検討を行った。また伝熱特性については、気泡の後方部が後流により液膜が薄くなるため、気泡の後ろ側に向かうに従い熱流束が増加することがわかった。
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