研究課題
平成24年度はインクジェット装置を使用し、印刷型有機トランジスタの作製に成功した。また、フィルム基板上に印刷電極を用いた有機トランジスタを作製し、高い機械的歪み特性を実証した。また、全印刷型有機トランジスタをフィルム基板上に集積化し、高い性能を実証した。インクジェット装置を用い、電極用のインク材料として各種銀ナノ粒子インクを利用した。描画する下地表面の表面エネルギーの制御と印刷条件の最適化を行うことにより、チャネル長10μm以下の短チャネルトランジスタの作製に成功した。フィルム基板上に印刷電極を用いた有機トランジスタを作製し、移動度0.1 cm^2/Vs、オンオフ比10^5以上という良好な特性を得た。作製したトランジスタに機械的歪みを加えたところ、曲率半径4 mm、1.5%の歪みまでの機械的耐性を有していた。これは蒸着電極を用いた場合と同程度の特性であり、印刷電極を用いたフレキシブルエレクトロニクス応用への可能性を実証した。さらに、全印刷型有機トランジスタの実現に向けて、フレキシブル基板上に全工程を印刷手法によってトランジスタを作製した。有機半導体層には企業から提供された新規材料を用いた。ソース・ドレイン電極表面を修飾するSAMの有無によるトランジスタ特性を詳細に評価した結果、電極の表面を適切な材料で修飾することにより、移動度1.0 cm^2/Vsを超える高い特性を達成した。さらに、全印刷型擬CMOS回路を作製し、5 Vでの良好な出力特性を確認した。また擬CMOSリングオシレータを作製し、20 Vでの発振周波数294 Hzという値を得た。これは全印刷型有機集積回路としては極めて良好な応答速度である。以上のように、印刷方式によって作製した有機トランジスタ・集積回路の良好な駆動、特性を多角的に実証した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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