研究概要 |
太陽電池の普及拡大には、高い変換効率を有するフレキシブル薄膜太陽電池を、安全かつ安価な材料で創製することが鍵となる。そこで本研究では、BaSi2/Ge/金属シートから成る新しいタンデム構造を提案すると共に、最重要課題となるBaSi2/Ge/金属シート構造の結晶成長技術の構築に目的を定め、研究を遂行している。BaSi2はGeの(111)面方位にエピタキシャル成長可能であるため、Ge結晶層の面方位を(111)面に制御することが重要となる。 昨年度において、Si薄膜の(100),(111)結晶方位制御技術として実績のあるAl誘起成長(AIC)法をGeへ応用し、(111)面方位に優先したGe薄膜の形成を実現した。しかしながら、断面透過型顕微鏡(TEM)観察、及び電子後方散乱(EBSD)法による評価から、成長したGe(111)薄膜上にランダム方位・小粒径のGeアイランドが存在し、結晶性を劣化させることが判明した。そこで本年度においては、Geアイランドの発現を抑制するため、GeとAlの膜厚を最適化することを試みた。その結果、Ge膜厚を40nm、Al膜厚を50nmとしたときにGeアイランド層の発現が最も抑えられ、(111)面方位の配向面積が99%に及ぶGe薄膜を形成することに成功した。 一方で、得られたGe層をテンプレートとし、BaSi2のエピタキシャル成長を試行したが、良好な結晶性を有するBaSi2を得ることはできなかった。この原因は、Geテンプレート層の表面がラフである(RMS:11nm)ことと考えられる。今後、化学機械研磨(CMP)によってGe層を平坦化した後、BaSi2層のエピタキシャル成長を遂行する。
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