2009年7月、日本における長さの国家標準はヨウ素安定化ヘリウムネオンレーザからフェムト秒光周波数コム(光周波数コム)へと変わった。計測現場における計測精度の向上を図るためには、光周波数コムに直接リンクした長さ計測技術を開発する必要がある。空気の揺らぎをどのように補正するかは残された問題である。 今年度は、これまでの経緯を踏まえて、光周波数コムを用いた長さ計測の精度を向上させるために不可欠な空気の揺らぎ補正を取り上げ、そのモデルを構築し、構築した光学システムを用いて空気の揺らぎによる誤差を補正する技術要件を検討し、高精度で絶対的長さを計測できる方法を用いて提案法の検証、またその不確かさの評価を実現することを目標とした。 具体的には、以下のことを目的として研究を行った。(1) 生産環境におけるメートルオーダーに渡って空気の揺らぎに関するモデルについて、調査・考案した。(2) 補償光学に基づいた空気揺らぎのの補正に関する技術要件を検討した。(3) 補正システムの高精度での補正を活かした長さ計測を試みた。また、得られた結果を国外・国内学会で成果を報告した.
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