現在、家庭環境下や災害環境下において人の代わりとして働くロボットや知能機械の実現が期待されている。このような背景より、本研究では状況に応じた判断を人が行うことにより、人の代替作業が容易に実現可能な遠隔・自律融合人支援システムを開発・研究することを目的とする。平成24年度においては主に次のような研究成果を得た。 1.異自由度システム間における構造の差異を吸収するために、階層化制御にもとづく遠隔・自律制御手法を提案した。提案手法の有効性を確認するため、異自由度システムを用いて対象物に対する把持・操り動作を実施した。結果、対象物形状に対する環境適応および所望タスクが軽操作のみで実現できることを実証した。 2. ダイナミクスを有する高精度シミュレータの作成により、人支援システムを用いた複雑なタスク実現のための研究加速が見込まれる。そこで、衝突モデルを有するシミュレータシステムを作成した。作成したシミュレータシステムを用いることにより、従来のシミュレータシステムより高精度なシミュレーション結果を取得できることを確認した。 3.パラメータが未知の道具を用いたタスク実現のために、外界センサと内界センサのセンサフィージョンによるパラメータ推定手法を導出した。ここで、外界センサとしてはビジョンセンサを用いた。導出した手法を用いて未知の道具による把持・操り動作試験を行い、提案手法の有効性を確認した。 また、上記の研究評価として1)産業計測制御技術委員会優秀論文賞 および2)電気学会優秀論文発表賞 を受賞した。
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