研究課題/領域番号 |
23860040
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
福島 誠治 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科(工学系), 教授 (10610214)
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キーワード | 光ファイバ無線 / IP / 位相雑音 / シンセサイザ / 光周波数コム発生器 / 電波法令 / レーザダイオード / ミリ波 |
研究概要 |
・IP系光ファイバ無線用の変調・符号の提案 おおむね正弦波とみなすことができるアナログの高周波信号をIP伝送する際に大幅に情報量を圧縮することができるスロープ・トリガ法を提案した。本手法では、高周波信号を等間隔でサンプリングするのではなく、特定の電圧(電界)をとるときにその時刻のみを伝送する手法である。実際のインプリメンテーションに先立ち、本手法によって伝送し再生した高周波電圧が電波法令に照らして、歪などの特性が許容されるものか原理的な計算を行った。部分的な検証であったため精査は必要であるが、法令を満足する可能性が高いことを示した。また、現状技術のA/D変換器で本無線システムの構築が可能であることも計算によって示された。 ・部品の特性把握 初年度は、半導体光部品の評価よりミリ波シンセサイザの評価を先行した。光周波数コム発生器を用いたミリ波(マイクロ波)シンセサイザを周波数源として使用することを検討し、その位相雑音低減を図った。本シンセサイザ内部で使用されているレーザと光学系によって、過剰位相雑音が発生していることを突き止め、理論的考察によって位相雑音を低減する手段(レーザダイオード及び光学系の最適化)を見出した。また、実験的に光学系内部にもうひとつの過剰雑音源が存在することを確認し、低減手段(波長フィルタの最適化)の検討の上、実験実証によって低減手段の有効性を示した。すべての対策を実施することによって、現在観察されている位相雑音が約10dB低減できることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定以上の進捗部分と予定以下の進捗部分が混在している。半導体光デバイスに関して、研究協力者からモジュール提供を想定していたが、ベア・チップ提供であったためその測定系の構築が必要になった。早急にベア・チップの電気評価、光学評価の系を構築する。一方、変調・符号に関する研究は予定以上の進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
本補助金によって、実験系の構築は進捗している。上記(11)のとおり、半導体光部品の評価系構築の作業が増えたが、本質的な問題が増えた訳ではなく、研究室発足2年目になり学生の従事者が増員されたため、遅延は解消可能であると考える。 半導体光デバイスとして、本年度は研究協力者から新デバイス(デュアル・ドライブ・レーザ)が入手可能になり、部品レベルで低波長分散、長距離伝送などのさらなる高性能化が実現できるため、システム設計が変更される可能性がある。早急に検討を開始する。
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