研究概要 |
ラマン分光法と原子間力顕微鏡(AFM:atomicforcemicroscopy)を組み合わせることにより、tip-enhancedRamanspectroscopy(TERS)を実現した。TERS測定においてしばしば擾乱要因となる遠方場の信号(バックグラウンド)を抑制するために、TERS信号、およびバックグラウンドの偏光依存性を検討して、最適なTERS測定配置を選定した。その結果、入射方向[110],入射、散乱偏光がそれぞれp,およびs偏光の配置において高いTERS信号/バックグラウンド比を得た。さらに、"チップ増強テンソル"を用いたチップ電場増強モデルにより計算したTERS信号の偏光依存性と比較した結果、Siのラマン散乱強度の増幅率として1.6〓105が得られた。この値は、これまでに報告されてきた増幅率104に比べて一桁程度大きい。大きな増幅率が得られた要因は、shear-forcemodeを用いてAFMを行ったことにより、探針と試料表面の距離が極めて近接したことに因ると考えられる。
|