研究課題/領域番号 |
23860054
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研究機関 | 愛知工科大学 |
研究代表者 |
大竹 才人 愛知工科大学, 工学部, 准教授 (30437355)
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キーワード | ナノテクノロジー / バイオナノデバイス / ナノインプリント / DNAセンサ |
研究概要 |
次世代医療に向けた必須事項としてDNA診断がある。これは我々が持っている体質や、将来発症しやすい疾患などを予め診断して予防や治療に役立てる医療である。また、薬剤の服用前に副作用の発症の有無が分かるため、安全で的確な治療ができる。これは、オーダーメード医療ともよばれ、従来の画一的な治療法ではなくて、個人に応じた最適な治療ができることから、次世代の医療として盛んに研究が行われている。この実現には、1人の患者から数千種類の遺伝情報を一度に得る必要があり、簡便で高感度なDNAセンサの普及が早急に求められている。 現状は、蛍光標識式のDNAセンサが利用されている。これは患者の血液などから採取されたDNAを、蛍光プローブであらかじめ化学修飾して、そこに用意された疾患遺伝子(がん遺伝子など)と作用させる。疾患遺伝子を有しているときは、お互いに結合して二重らせん構造となり、疾患遺伝子を有していないときは、結合せずに一重構造のままとなる。現在は、この判定を蛍光顕微鏡で行っている。しかしこの問題点は、患者のDNAを蛍光プローブで化学修飾する煩雑な工程が含まれ、かつ得られる顕微鏡像による判定が、蛍光の強度に依存するために、あいまいな判定が避けられない点にある。 そこで本研究では、簡便で高感度な化学修飾によらないノンープローブ法による電気北学センサを作製してそのDNAセンシングを行う。この時DNAは、電極上にナノインプリントを利用した一括固定化を行う。またDNAアレイパターンをナノオーダーで配列することで、高度に集積化したDNAナノアレイを作製する。この様にして、オーダーメード医療に向けた次世代DNAセンサの開発を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DNAナノアレイ化に向けた、ナノインプリント技術によるDNAナノパターニング技術が確立された。線幅数百ナノメートルのline状パターンや格子状パターンが作製された。この時DNAは損傷することなくパターニングされていることから、DNAセンサ作製に向けたDNAナノアレイ化技術が確立された。
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今後の研究の推進方策 |
前述の成果を踏まえ、500nm×500nm程度の格子模様のDNAナノパターニングを、センサとして使用するIS-FETのゲート電極上に実施して、そのセンシング評価を進める。一本鎖DNAを予めインプリントにてIS-FETのゲート電極上に固定化して、これに相補的な配列を持つ一本鎖DNAを作用させることで、二本鎖DNAが形成される。この二本鎖DNAが形成される前後でのIS-FET特性を評価して、その差異検出による高感度DNAセンサの開発を進める。
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