研究概要 |
本研究では,永久磁石同期モータの制御に適した最大トルク座標系の考え方を用いて,位置センサレス制御の高性能化を検討した.本年度については以下の成果を得た. 1、位置センサレス制御のための信号重畳法に適した拡張誘起電圧モデル モータの停止時・低速駆動時において位置推定を行うためには,モータ電流への信号重量が必要となる.このとき,最大トルク制御座標系を用いることにより,信号電流によるトルク外乱を与えずに位置の情報を得ることができるが,従来から位置の推定に用いている拡張誘起電圧モデルでは,その位置情報を十分に取り出すことができなかった.そこで,この最大トルク制御座標系を用いた信号重畳法に適した新たな拡張誘起電圧モデルを導出し,これを用いて全駆動領域における位置センサレス制御を実現する方法を提案した. 2.パラメーター誤差と位置推定誤差の関係についての理論的検討 拡張誘起電圧モデルを構成するモータパラメータである抵抗とインダクタンスの変動に対する影響の理論解析を行い,各パラメータ誤差と位置推定誤差の関係を明らかにした.解析の結果から,低速域において信号電流を重畳することによって,パラメータ誤差の影響が低減することを計算によって確認した.特に抵抗誤差に対しては低速域で大きく影響が現れるため,信号重畳の効果が顕著であることを示した。この解析結果は,今後の位置センサレス制御のロバスト性向上に繋がる重要な成果である.
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