研究課題/領域番号 |
23860062
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
室谷 英彰 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 助教 (20612906)
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キーワード | 電子・電子材料 / 薄膜・量子構造 / 窒化物半導体 / LED / フォトルミネッセンス |
研究概要 |
緑色で動作するLEDの材料として注目されているInGaNナノワイヤにおいて内部量子効率の発光波長依存性を評価板。まず、PLスペクトルの励起パワー密度依存性および温度依存性から、低温および室温における内部量子効率の励起パワー密度依存性を導出した。その結果、InGaNナノワイヤでは内部量子効率が低温弱励起下において100%でほぼ一定であることが分かった。これは、低温において非輻射再結合中心がほぼ完全に凍結していることを示しており、InGaNナノワイヤの欠陥密度がInGaN薄膜に比べて極めて低いことを反映したものと考えられる。 次に、室温における内部量子効率の発光波長依存性を導出したところ、内部量子効率は発光波長の増大に伴い増大することが分かった。この原因について考察するために、PLピークエネルギーの励起パワー密度依存性を導出した。その結果、PLピークエネルギーは励起パワー密度の増大に伴いブルーシフトすることが分かった。これは、バンドフィリング効果によるものであり、ブルーシフト量は励起子あるいはキャリアの局在化の度合い反映するものと考えられる。そこで、局在化の度合いと内部量子効率の関係について考察するために、内部量子効率のブルーシフト量依存性を導出した。その結果、内部量子効率はブルーシフト量(局在化の度合い)の増大に伴い単調に増大することが分かった。このことから、発光波長の増大に伴う内部量子効率の増大は局在化の度合いの増大を反映したものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初の計画通り、PL測定系を構築することができた。また、欠陥密度の低いInGaNナノワイヤにおいて内部量子効率の評価を行っており、既存LED構造の結果と比較することで既存の内部量子効率評価法の問題点が明らかとなりつつある。このことから、研究計画はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
・当初の計画に則って研究を推進し、平成23年度までの研究によって明らかとなりつつある既存の効率評価法の問題点を踏まえ、内部量子効率を精度よく評価するための手法の構築を優先的に行う。また、構築した手法を利用して内部量子効率の評価を行い、その結果をもとに強励起下および弱励起下における内部量子効率の低下要因の解明を行う。さらに、これらの研究によって得られた成果に基づき、上EDの発光効率向上のための指針を提案することを目指す。
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