可視光領域で動作するLEDの材料として注目されているInGaNナノワイヤにおいてフォトルミネッセンス(PL)測定および時間分解PL測定を行い、内部量子効率に対する局在化の影響について考察した。PLスペクトルの温度依存性を測定し、PLピークエネルギーの温度依存性を解析することによって局在エネルギーを導出した結果、局在エネルギーはIn組成比の増大に伴い増大することが分かった。また、時間分解PL測定を行うことで発光寿命の発光エネルギー依存性を解析し、局在準位の特性エネルギーを導出した結果、In組成比の増大に伴い増大することが分かった。これらの結果はいずれもIn組成比の増大に伴い励起子の局在化の度合いが増大することを示している。次に、PLスペクトルの励起パワー密度依存性および温度依存性を測定し、内部量子効率の励起パワー密度依存性を導出した。その結果、内部量子効率は低温弱励起下において100%でほぼ一定であり、強励起下では励起パワー密度の増大に伴い減少することが分かった。この結果は、低温において非輻射再結合中心がほぼ完全に凍結していることを示している。また、室温における内部量子効率の最大値を導出した結果、内部量子効率はIn組成比の増大に伴い増大することが分かった。このとき、内部量子効率と局在エネルギーおよび局在準位の特性エネルギーとの間に明瞭な相関関係があることから、内部量子効率の増大は局在化の度合いの増大を反映したものと考えられる。最後に、内部量子効率とPLピークエネルギーの励起パワー密度依存性を比較した結果、PLピークエネルギーのブルーシフトが起きる励起パワー密度においてIQEの減少起きることが分かった。PLピークエネルギーのブルーシフトはバンドフィリング効果を反映したものであるため、この結果は、内部量子効率の低下に局在準位の飽和が関与していることを示しているものと考えられる。
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