研究課題/領域番号 |
23860064
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
田中 宏彦 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (60609981)
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キーワード | Blob / 静電揺動 / ヘリカル / ダイバータ / 統計的解析 |
研究概要 |
大型ヘリカル装置LHDにおいて、高速掃引機構を備えた静電プローブおよびダイバータ板上に埋め込まれたプローブ電極アレイを用いて、イオン飽和電流揺動信号の高時間分解能計測・解析を行った。 高速掃引プローブヘッド上に配した2芯電極で同時に計測された揺動信号に対し、条件付き平均法などの統計的解析手法を適用することで、正にスパイク的で間欠的な揺動が2芯電極間を伝搬する時間を算出した。さらに真空磁場計算コードKMAGを用いた3次元的な磁場構造解析結果から、理論に基づいたplasma Blob進行方向を仮定することで、LHDにおけるPlasma Blobの輸送速度ならびに進行方向サイズを定量的に明らかにした。これは高空間分解能を有する計測器を用いた評価としては、ヘリカル型装置で初である。本内容は2012年のPSI国際会議において発表を予定している。 加えて、磁気軸やプラズマ密度などの各種実験条件の異なる実験を行い、静電揺動信号のデータセットを系統的に取得した。特に、共鳴摂動磁場を印加することで非接触ダイバータプラズマを長時間安定に維持した放電においては、ダイバータ板の上流・下流の静電揺動信号を初めて同時に高時間分解能計測することに成功した。それぞれの位置で、非接触状態では通常の接触状態と顕著に異なる揺動特性が評価され、また特徴的な現象が発生する位置が磁場構造と密接に関係していることが確認された。 Plasma Blob内部の電場計測を目的とした多芯プローブヘッドを年度内に新規製作する予定であったが、23年度に使用していたプローブヘッドに重大な問題が生じたため、設計の大幅な見直しを24年度にかけて行った。ダイバータ部の閉構造化工事で増設される240チャンネル分の静電プローブについても、計測系の準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度研究の目的に挙げた「局所における輸送パラメータの定量評価」および「非接触ダイバータ状態における上流位置計測」は順調に進展した。得られた成果はともに近年中に学術論文としてまとめる予定である。しかし、23年度に製作予定であった多芯プローブヘッドは設計の見直しを要したことから、製作を24年度に遅らせた。このため23年度研究の総合的な評価を(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
24年度の研究では広域的な計測に重点を置く予定である。ダイバータ部の閉構造化工事に伴い増設される240チャンネル分の静電プローブに対し、適切に高時間分解能の計測系を整えることで、ヘリカル装置中の3次元的な揺動特性異方性を調査する。また、電場計測可能な多芯プローブヘッドの製作を24年度に入り進めている。これを用いて局所の定量計測を進展させる予定であるが、実験開始に間に合わない場合には、局所計測用のAID変換器を広域計測に転用する。
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