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2011 年度 実績報告書

光の波長による日中覚醒作用の心理的・神経生理的評価に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23860073
研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

岡本 洋輔  独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 産総研特別研究員 (80612184)

キーワード光環境 / 波長 / 覚醒度 / 認知作業 / 大脳活動
研究概要

光はその波長成分(色)によって夜間における人間の覚醒度に与える影響が異なる.これまで,緑色光や暗闇と比較して青色光への暴露が覚醒度を向上させることが明らかにされている.一方,夜間以外の時間帯における光の波長成分による覚醒作用特性や作用メカニズムについては不明な点が多い.日中における覚醒作用量および認知課題処理に対する光の波長特性は,光の覚醒作用を日中での作業における効率の向上や事故の防止に利用する際に有用な知見となり得る.
本研究では,早朝における青色と赤色光暴露時の脳波の計測を行った.後頭部付近で計測した脳波のアルファ波成分は,暗闇条件と比較して青色光と赤色光暴露後約30分後から小さくなった.大脳活動の低周波成分(シーター波,アルファ波)の強度は主観的眠気と正の相関を持つと考えられることから,本結果は早朝における青色光と赤色光への暴露によって眠たさが抑制されたことを示唆している.これは,夜間以外の時間帯である早朝においても青色光と赤色光には覚醒作用がある可能性を示している.
さらに,日中において,波長成分の異なる光を暴露したときに,認知課題に対する反応時間と脳波およびセッション中の主観的眠気を計測した.認知課題として聴覚オドボール課題を用いた.出現頻度の異なる2種類の音を呈示し,被験者には低頻度の音刺激に対してボタン押しを求めた.主観的眠気と反応時間は,実験時間の経過とともに増加する傾向が見られたが,光の波長による違いは見られなかった.脳波は低頻度刺激呈示後約300msに観察される大脳活動のピーク(P300)について解析を行った.その結果,暗闇条件と比較して,青色光に暴露中ではP300の相対振幅が経過時間とともに大きくなる傾向が見られた.被験者を増やして実験を行うとともに,脳波のさらに詳細な解析を行う.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画を実現するために必要な光刺激呈示装置と音刺激呈示装置が特に問題なく作成できた.新たに購入した分光放射計および研究機関に設置済の脳波計測装置の使用方法も特に問題なく習得でき,実験を行うことができたため.

今後の研究の推進方策

申請書記載の研究課題について,被験者を用いた実験を重ねデータの収集に努める.脳磁界計測に用いる磁気シールドルーム内では磁性体が使用できないため,材料を工夫し実験に使用可能な光刺激呈示装置を構築する.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Effects of adaptation on the temporal envelope of amplitude-modulated flickering light2011

    • 著者名/発表者名
      Yosuke Okamoto, Seiji Nakagawa
    • 雑誌名

      Vision Research

      巻: 487 ページ: 1372-1375

    • DOI

      10.1016/j.visres.2011.04.014

    • 査読あり
  • [学会発表] Temporal dynamics of cortical activity for blue light exposure in the early morning2011

    • 著者名/発表者名
      Yosuke Okamoto, Mark Rea, Mariana Figueiro
    • 学会等名
      第44回照明学会全国大会
    • 発表場所
      愛媛大学(愛媛)
    • 年月日
      2011-09-16
  • [学会発表] 脳磁界計測と心理学的計測による振幅変調点滅光のエンベローフ知覚メカニスムの検討2011

    • 著者名/発表者名
      岡本洋輔, 中川誠司
    • 学会等名
      第26回日本生体磁気学会大会
    • 発表場所
      九州大学(福岡)
    • 年月日
      2011-06-03
  • [備考]

    • URL

      http://staff.aist.go.jp/vos-okamoto/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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