最終年度となる本年度は、天然鉱山と都市鉱山の統合的評価のための指標開発を進めると同時に、前年度に整理したデータを用いた評価をおこなった。 統合的評価のための指標開発では、金属資源の利用可能性への都市鉱山の寄与を測る指標(Latency of secondary resources reclamation:以下Latency)を開発した。各金属の天然資源の相対的な利用可能性の大きさは利用可能量(埋蔵量)を年間生産量で除した可採年数で示すことができる。一方で、都市鉱山からの再生資源の利用を促進することで、天然資源の生産量を低減し可採年数を大きくすることができる。この可採年数の最大値の、現状の可採年数に対する比をLatencyと定義することで、金属資源の利用可能性に対する都市鉱山の寄与のポテンシャルを示した。また、可採年数とLatencyを乗じることで得らえる可採年数の最大値をもって、都市鉱山中のポテンシャルを含めた包括的な金属資源利用可能性の評価を可能とした。 このような評価の枠組みをもって、鉄、アルミニウム、銅、亜鉛、鉛、ニッケル、銀の7金属について、世界レベルでの利用可能性の評価をおこなった。これらのうち銅、亜鉛、鉛、銀は2000年時点において可採年数が20年程度と同等である。このなかで鉛はLatencyが大きいため、リサイクルの促進によって資源利用の持続性を大きく向上できることが示された。一方で、スクラップの発生量が需要量に比べて小さいためLatencyが小さく推計された銅や亜鉛の持続的な利用に向けては、生産プロセスにおける歩留りの向上や素材代替がより有効であると考えらえた。このように、都市鉱山に存在する再生資源の利用可能性を考慮した包括的な金属資源の利用可能性の評価手法の開発により、個別の金属の持続性向上に有効な技術、施策の示唆を可能とした。
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