研究課題/領域番号 |
23870004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩崎 信太郎 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (80611441)
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キーワード | 小分子RNA / Argonaute / 分子シャペロン / siRNA |
研究概要 |
小分子RNA二本鎖から最終的にRISCが形成される過程をRISC assemblyと呼ぶ。近年、RISC assemblyにHsc70/Hsp90シャペロンマシナリーが必要であることが示された。Hsc70/Hsp90シャペロンマシナリーは結合したタンパク質の構造を変化させることによって、そのタンパク質を成熟化させる機能をもつことが知られている。Hsc70/Hsp90シャペロンマシナリーによる成熟化が最も研究されているステロイドレセプターではHsp70、Hsp90、Hsp40、Hop(Hsp70/Hsp90 Organizing protein)、p23の5種類のタンパク質が成熟化の再構成に必要十分であることが知られている。私のこれまでの研究により、ショウジョウバエAgo2に結合するタンパク質としてHsc70-4(Hsp70ホモログ)、Hsp83(Hsp90ホモログ)、Droj2(Hsp40ホモログ)、Hopを同定しており、因子の共通性からRISC assemblyにおいても上記の5種類のタンパク質ホモログによって再構成される可能性が高いと考えた。 平成23年度の研究の成果により、siRNA二本鎖、Ago2、Dicer-2/R2D2、Hsp83、Hsc70-4、Hop、Droj2、p23、ATPを含む10因子を用いてショウジョウバエAgo2のRISC assemblyを再構成することが可能になった。この結果からRISC assemblyという反応が起こるための最:小単位を定義することができた。また、この結果は生化学的再構成を達成しなければ知りえない知見であり、本研究の意義は非常に大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的である、小分子RNA複合体形成過程の再構成系の構築を達成することができ、年次計画通りに研究が進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、平成23年度の研究の成果により、siRNA二本鎖、Ago2、Dicer-2/R2D2、Hsp83、Hsc70-4、Hop、Droj2、p23、ATPを含む10因子を用いてショウジョウバエAgo2のRISC assemblyを再構成することが可能になった。Hsc701Hsp90シャペロンマシナリーがその結合すべきタンパク質の特異性をどのように決定しているかという点はRISC assemblyを理解する上で非常に重要な点である。今後は本再構成系を用いて特異性を決定する因子の検証を行う。本再構成系で用いている因子のホモログを用い、そのホモログが機能を代替できるかを解析する。また、それらを用いた場合に、新規中間状態で反応が止まるかを検証する。
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