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2011 年度 実績報告書

根の成長における活性酸素種による情報統御

研究課題

研究課題/領域番号 23870012
研究機関名古屋大学

研究代表者

塚越 啓央  名古屋大学, 高等研究院(農), 特任助教 (30594056)

キーワード転写制御 / 細胞機能転換 / 活性酸素 / 発生発達 / 根端成長
研究概要

植物バイオマスの安定供給の為には、植物のサイズ決定機構の分子メカニズムを明らかにすることが重要である。根のサイズ決定に重要な根端における細胞分裂から細胞伸長への機能転換機構には活性酸素種(ROS)が働いている。これまでにUPB1と名付けた転写因子がROSのホメオスタシスを調節し,根端の細胞機能転換を制御していることを示している。本年度はROSと細胞分裂の関わりを中心に解析を行った。
G2/M期マーカー遺伝子CylinB1;1-GFPレポーターを用い,過酸化水素(H_2O_2)によってレポーターの発現が低下することが分かった。またDNA合成を可視化可能なEdU染色から、H_2O_2はG1/S期への進行も抑制することがわかった。更にq-PCRを用いた発現解析からも、細胞周期の進行に関わるいくつかの遺伝子発現もH_2O_2によって抑制されていた。特に細胞周期の進行を制御しているいくつかの重要な転写因子遺伝子の発現が抑制されていた。H_2O_2の代謝酵素であるカタラーゼ2(cat2突然変異株を用いた解析から、CAT2はH_2O_2処理下で正常な根の発達に重要であることが明らかになった。以上のことからROSは細胞周期全体の遺伝子発現に影響を与え細胞周期の進行を抑制し、ROSストレス条件下でのメリステム活性にはCAT2が重要な役割を果たしていることがわかった。現在、この研究成果を論文にまとめている。
また、研究課題であるペルオキシダーゼのUPB1意外の制御因子に関しては、ALBA4遺伝子破壊株や過剰発現株等の形質転換体リソースの整備を進めた。本年度はこれらの植物体を用い,ALBAがペルオキシダーゼの発現に与える影響並びに,細胞機能転換に関わる役割を分子遺伝学的解析により明らかにして行く。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画である活性酸素の細胞周期への関わりについて論文としてまとめられるデータを得ることができた。また、ALBA遺伝子の機能解析に関して、形質転換体や遺伝子破壊株取得等時間のかかるリソースの準備を完了し、詳細な解析を今年度に行うことが可能になった。

今後の研究の推進方策

活性酸素による細胞周期関連遺伝子の発現制御機構に関する論文を投稿する。Alba遺伝子の機能解析においては、平成23年度までに作成した、過剰発現株、二重変異株、プロモーターレポーターラインを用い,Albaタンパク質の細胞内局在や,ALBAタンパク質のペルオキシダーゼ遺伝子の発現に与える影響を詳細に解析する。これらから得られた結果を論文としてまとめる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Cell identity regulators link development and stress responses in the Arabidopsis root2011

    • 著者名/発表者名
      Lyer-Pscuzzi, AS., Jackson, T., Cui, H., Petricka, JJ., Busch, W., Tsukagoshi, H., Benfey, PN.
    • 雑誌名

      Developmental cell

      巻: 21 ページ: 770-782

    • DOI

      10.1016/j.devcel.2011.09.009

    • 査読あり
  • [学会発表] UPB1 controls transition from proliferation to differentiation in the root via ROS2012

    • 著者名/発表者名
      塚越啓央
    • 学会等名
      第53回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      京都産業大学(京都)
    • 年月日
      2012-03-16
  • [学会発表] UPB1, which controls transition from proliferation to differentiation in the root tip2011

    • 著者名/発表者名
      塚越啓央
    • 学会等名
      Intenational symposium, Strategies of Plants against Global environmental change
    • 発表場所
      倉敷市芸文館(岡山)(招待講演)
    • 年月日
      2011-12-10
  • [学会発表] 植物根端から分化への移行を制御する新奇転写因子UP BEAT12011

    • 著者名/発表者名
      塚越啓央
    • 学会等名
      日本植物学会第75回大会
    • 発表場所
      東京大学(東京)(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] 植物根端の細胞分裂から細胞分化への移行を調節する転写因子UP BEAT1の解析2011

    • 著者名/発表者名
      塚越啓央
    • 学会等名
      阿蘇フロンティアサミット
    • 発表場所
      阿蘇グランヴィリホテル(熊本)(招待講演)
    • 年月日
      2011-08-23
  • [備考]

    • URL

      http://hiroarabidoros.the-ninja.jp/

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公開日: 2013-06-26  

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