研究概要 |
23年度は磁気ピンセットにより一方向に制御された力を細胞にかけるためには、ノード脇のメカノセンサーと考えられている個々の繊毛に対して少数の磁気ビーズを付着させる試みを行った。磁気ビーズ表面の一部分のみにセンサー繊毛と結合する官能基を修飾し、接着する確率を抑える必要がある。そこで先行研究で報告されているスポットラベル法[Hill et al Biophys. J. 9857-66(2010)]を参考にしてセンサー繊毛に磁気ビーズを付着させることを試みた。表面にStreptavidinを修飾したマイクロ磁気ビーズ(Dynal/Invitrogen社製)をガラス基板上に置き、その上から金をコーティングする。この時ガラス基板の接触しているわずかな表面積を除き、磁気ビーズ表面は金の薄膜でコーティングされる。次にチオール基を持つポリエチレングリコール:Thiol-PEG, Nektar Therapeutics社製)をビーズ表面にコーティングさせることでビーズ表面の一部のみがAvidinを持つ状態となる。ノード繊毛表面はあらかじめbiotinylated wheat-germ agglutinin(b-WGA ; Vector Laboratories, USA)を培養液に混ぜインキュベーションすることでセンサー繊毛表面がBiotinを担持する状態にしておく。ここにAvidin化された磁気ビーズを導入することでAvidin-Biotinの結合力により1本の繊毛限られた少数の磁気ビーズのみを付着させることができる。実験の結果磁気ビーズを接着させることには成功したが予想よりも多くのビーズが付着し凝集してしまい繊毛細胞の性質に影響を与えてしまうこととなった。今後はビーズの最適な濃度の検討し細胞に影響をしない実験条件を探すことが必要となる。 なお、本研究課題は24年度の若手Bが採択されたため、途中で辞退することとなった。
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