本研究の目的は、性染色体の確立過程にあるニホンアマガエルを材料に、性染色体上に座位するユニバーサルなマイクロサテライトマーカーを確立することで、細胞遺伝学と行動生態学の両面から、性染色体の起源にせまることである。 本年度は繁殖期に調査を実施できる唯一の機会であり、ニホンアマガエルの成体のサンプリングを中心に、その後の解析に繋がる確実な試料収集に努めた。前年度の予備調査では、生息場所の調査ができなかったことから、本年度は初夏の本来の繁殖期に近郊の潜在的生息地において生息地調査を進めた。 一方実験系では、所属機関の改築工事などの影響で機器類を効率的に運用する実験実施場所の割り当てが年度末にずれ込んだことから、進展が十分にはできていない。このため、研究課題の推進に必要なマイクロサテライトマーカーの開発は予定していた数には到達していないが、研究実施期間は終了したものの、今後もこれまでの成果を元に開発を進め、性染色体上に座位する有用なマーカーを一つでも多く確立し、本研究の究極目標である性染色体の起源を明らかにしていく。研究活動スタート支援としての研究基盤の構築に関しては、おおむね目的を達成しており、個別の研究成果に関してはまとまり次第、学会発表や論文掲載の形で公表していく。
|