研究課題
本研究の目的は、アミロイド線維末端における特異構造を原子レベルの分解能で解明することにより、アミロイド線維形成メカニズムを理解することである。アミロイドβ(Aβ)をはじめとするアミロイド線維の形成過程は多段階からなっており、Aβの線維伸長反応は線維末端の特異構造の触媒的な作用により、モノマーAβが順次取り込まれることによって進行すると考えられる。しかしながら、これまでに線維伸長を誘起する分子間相互作用の実体を分子構造論の観点から捉えた研究例はない。それは、アミロイド線維末端は動的でかつ不安定な過渡的中間体としての性質を有しており、その構造を安定にとどめることはこれまで不可能であったためである。そこで、申請者は線維伸長の末端に現れる特異構造を保持しつつ線維伸長を抑止する実験系をデザインすることができれば、その精密な構造情報を得ることができると考えた。本年度は、そのような特異な末端構造を安定化する方法として、分子シャペロンやモデル糖脂質膜を用い、チオフラビンTアッセイおよびNMR計測をはじめとする分光学的計測を実施した。その結果、分子シャペロンGroELや特定のガングリオシドを組み込んだ脂質2重膜上において、Aβの線維伸長が抑制されることが判明した。さらに、一定の計測時間中、その結合状態を安定にとどめることが可能となり、両者の相互作用様式をNMR法を用いて捉えることができた。また、Aβを連結した小型かつ均一なタンデムAβ線維断片を作製し、NMR解析を行った結果、タンデムAβは溶液中で二量体を形成していることが判明した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件)
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