研究課題/領域番号 |
23880007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
當山 啓介 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (00613001)
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キーワード | 森林管理 / 林業経営 / 環境配慮 / 収益性 / シミュレーション / 人工林 |
研究概要 |
主に、新たな対象地である北海道にて、伐採搬出業者・森林認証取得者・行政に対して聞き取り謂査を行い、使用できる林業機械の制限、皆伐の抑制、水辺林の保護といった環境配慮の実際と現地の林業実態を整理把握した。その知見を反映した上で、山形県と北海道を想定対象とし、伐採搬出費用の試算および森林施業方針の選択を核とする、地域森林管理シミュレーションモデルの改良と適用を実施中である。同時に、環境配慮型森林管理の典型である混交林化に向けた具体的な森林管理方針を提示する調査を進めており、これを林業経営の側面から評価してモデルに組み込める予定である。 構築した地域森林管理シミュレーションモデルを活用して現実の森林管理方針を評価し、よりより方針を提案していくのが本研究の最終的な課題である。現在のところ、大規模林産業への安定的原料供給を意図する場合の地域森林からの可能供給量の試算を行い、それがもたらす環境面・社会面へ影響を表示して地域森林管理の意思決定に活かす形を構築しつつある。現状の方針に対して行うことができた評価・考察としては、現在推進されつつある多間伐・非皆伐の人工林管理方針が経営上有利でない条件が多く見られるという分析結果を得ている。 さらに、これらのシミュレーションモデルを意思決定支援システム(DSS)として活用するため、民間や行政等の森林管理の実務担当者あるいは森林所有者に対して、シミュレーションの結果やその解釈をわかりやすく提示する方法についても改良を進めており、これを含めた全体としてのモデルの改善を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究活動スタート支援」の1年半の期間のうち約1/3が経過したが、新たな対象地において現地調査および関連研究者との意見交換を重ね、モデルの構築もおおむね予定通りのペースで進行しており、論文投稿・学会発表も行っている。それらが残りの期間で認められるよう、さらに努力したい。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、現地調査とモデルの充実を図り、モデルの適用も推進する。その際、当初の計画のように、適用する対象地を拡充することが重要であるほか、成果をより分かりやすく効果的な形で社会(一般の関係者)に提示する方法をさらに改善することが望ましく、この点でも研究を推進すると同時に関連研究者との意見交換を進めていきたい。
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