研究課題
1. グルココルチコイド受容体(GR)発現調節メカニズムの解析:実験には、ヒトBurkitt型リンパ腫由来のRaji細胞を使用した。ヒトのGRには機能を持つGRαと機能を持たないGRβがあるが、PU.1をノックダウンするとGRα、GRβ両方の発現量が増加した。一方、SRp30cをノックダウンするとGRαの発現量が増加し、GRβの発現量は減少した。前年度の知見と合わせて考察すると、NF-κBが活性化するとPU.1によりGR遺伝子の転写が増加し、同時にSRp30cによりGRβへのスプライシングが増えると考えられた。2. 適応腫瘍選定のための基礎データの収集:ヒトのリンパ腫・白血病症例の腫瘍細胞に関して、グルココルチコイド感受性の検証を前年度に引き続き行った。前年度の結果と同様に、NF-κBの活性化を阻害することでグルココルチコイド感受性が回復することを確認できた。3. 生体におけるグルココルチコイド耐性解除効果の解析:SCIDマウスにRaji細胞を腹腔内接種し、NF-κB阻害剤IMD-0354のグルココルチコイド感受性に対する効果を検証した。腫瘍マウスの50%生存期間は、生理的食塩水、デキサメサゾン、IMD-0354の各単独投与群では約30日間だったが、IMD-0354とデキサメサゾンの混合投与群では40日間であり、有意に延長した。このことは、NF-κB阻害剤によるグルココルチコイド感受性の回復がin vivo試験においても確認できたことを示している。4. 総括:リンパ腫・白血病細胞におけるNF-κBの活性化は、PU.1やSRp30cを介して機能性GR発現量を減少させることでグルココルチコイド耐性を引き起こしていることが明らかとなった。さらに、NF-κB阻害剤の全身投与がリンパ腫・白血病のグルココルチコイド感受性を回復させる有効な手段となる可能性が強く示された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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